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棚橋「至宝」奪還、師弟対決制す/新日本

棚橋(下)は武藤にジャーマンを放つ(撮影・鹿野芳博)
棚橋(下)は武藤にジャーマンを放つ(撮影・鹿野芳博)

<新日本プロレス:東京大会>◇4日◇東京ドーム◇4万人

 師匠を倒し新日本の至宝を奪い返した。IWGPヘビー級選手権試合で、挑戦者の棚橋弘至(32)が王者・武藤敬司(46=全日本)を30分22秒、ハイフライフロー2連発からの片エビ固めで撃破した。棚橋は武藤が新日本在籍時の最後の付け人。プロレス界をけん引する師匠から3度目の対戦で初めてフォールを奪い、1年ぶり3度目の王座返り咲きに成功した。

 武藤という大きな壁に向かって、棚橋が飛んだ。右ふくらはぎのけいれんによる痛みをこらえ、東京ドームに舞った。武藤の必殺技シャイニングウィザードからの月面水爆を間一髪かわし、こん身のハイフライフロー2連発。レフェリーの3カウントが鳴り響くと、会場のファンが総立ちになった。「リング上はもっと孤独と思ったが、皆さんの声援が心に染みました」。棚橋は叫んだ。

 02年に武藤が新日本を退団。最後に付け人を務めた棚橋は、「一緒に全日本に行かないか」の誘いを断り、「新日本LOVE」を貫いた。00年に故橋本真也さんが解雇されたのに続くトップ選手の退団で、新日本の興行は苦戦が続いた。そんな中で棚橋は頭角を現した。06年7月に念願のIWGP初戴冠を果たした。4度防衛は武藤退団後では永田の10度に続く長期政権だった。「おれが新日本を支えてきた自負がある」。打倒「全日本」武藤に燃えた。

 妹の由樹子さん(28)の結婚も刺激になった。昨年11月24日、名古屋で行われた披露宴に出席。自ら蝶野、中西、永田、天山らのお祝いコメントをビデオで編集して持参した。「いつも格好いいお兄ちゃんでうれしい」と言われ、涙を流した。この日は師匠超えでの至宝奪還という最高の結末で、観戦した妹に晴れ姿を見せた。

 昨年は左ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂の影響でスランプに陥った。会場のブーイングに悩んだ日もある。だが、苦難を乗り越えた男に、プロレスの神様はほほ笑んだ。棚橋が手にした同王座は、初代アントニオ猪木から数えて節目の50人目。「すべてをさらけ出した王者になりたい」。プロレス界の世代交代という重責を担い、新王者は笑みを見せた。【塩谷正人】

 [2009年1月5日8時37分 紙面から]


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