柔道から総合格闘技に転向した石井慧(22)が、伝説の柔道家の「後継者」に指名された。71年の柔道全日本選手権覇者の岩釣兼旺氏(64)が21日、師範を務める都内の坂口道場で会見。「鬼」と称された柔道家・木村政彦の「最強弟子」と呼ばれる岩釣氏は「石井は木村先生に似ているし、あとを継げるのは彼しかいない」と、米国の総合格闘技団体UFCでのデビューを目指す石井を木村の「後継者」に指名した。

 岩釣氏は06年4月、石井が史上最年少の19歳で柔道の全日本選手権を制すと「すごい男が現れた」と、真っ先に木村の妻トミさんに電話した。睡眠4時間で練習した木村同様、練習量や内容にも驚かされ「あとを継ぐのは彼しかいない」と確信。今月10日、トミさんに引き合わせると、石井も「あとを継ぎます」と答えたという。

 木村は、37年から全日本選手権の前身の全日本選士権3連覇など現役時代は不敗。「鬼」と称され、プロレス転向後、力道山との世紀の一戦では流血の死闘を演じた。51年にはブラジルでUFC初代王者ホイスの父エリオ・グレイシーにも勝っている。

 子どものころ、木村の自伝を読んだ石井が、ホイスが初代王者となったUFCを選んだのも運命かもしれない。今月5日には悪性リンパ腫治療で入院していた岩釣氏を見舞い、北京五輪の金メダルを首にかけた。同氏から「鬼になれ」と書かれた色紙をプレゼントされると、後日、決意を示す「鬼」としたためた色紙を同氏に手渡したという。

 岩釣氏は「現地に行く」と話し、石井のデビューを心待ちにしている。【河合香】