「総合格闘技界の遼くん」と呼ばれる18歳の逸材、山田哲也(しんわトータルコンバット)が異色の「介護ヘルパー戦士」を目指す。「戦極

 第七陣」(20日、代々木第2体育館)のフェザー級GP(65キロ以下)初出場を控えた2日、神奈川県立横須賀明光高の卒業式に出席。新年度から福祉サービス関係の企業に就職し、介護福祉士の資格をとるための学校にも通うことを明かした。

 高校生活と格闘家の2足のわらじを履いていた山田が、新たな道を歩み出す。この日、高校を卒業。「就職して介護の仕事をしながら格闘技をやります。ヘルパー(介護福祉士)の資格も取りにいきます」と、今後は所属ジムの系列の福祉サービス関係企業に就職し、勤務しながら資格のための勉強に励む。ヘルパー戦士を目指して、3足のわらじを履く覚悟だ。

 18歳という若さと、実力と将来性から「総合格闘技界の(石川)遼くん」と言われる。中学時代は柔道部で高校から格闘技を始め、総合格闘技は3戦全勝。長身ながら俊敏性もあり、戦極でも初参戦ながら新星として期待されている。しかし、格闘技界はいつ故障するか分からない、厳しい世界。不況の世の中だけに、結果を残せなければ派遣切りならぬ選手切りに遭ってもおかしくない。若いながらもしっかりと人生設計を立てていた。

 練習で欠席日数が多く、通信簿は「(5段階で)3が1つか2つ」(山田)。それでも担任の三浦ひろ美先生(43)が「進路のリポートがよく書けていた。確か福祉関係の仕事のことを書いていた。やると決めたらやる子」と評したように、格闘技界で世界一を目指しつつ、冷静に将来を見据える頭脳を持っている。

 戦極デビュー戦の対戦相手は未決定だが「KOもしくは1本で勝ちます」と、必勝を誓った。「高校生活は楽しかった。これからは強く、たくましく、立派な大人になります」。快晴の空の下、まだ初々しさを残す山田が母校を巣立ち、未知の世界へと第1歩を踏み出した。【浜本卓也】