<全日本:両国大会>◇14日◇東京・両国国技館

 高山善広(42=高山堂)が04年の脳梗塞(こうそく)から復帰後、初のタイトルを獲得した。全日本の3冠ヘビー級王者グレート・ムタに挑戦。13分42秒、必殺のエベレストジャーマンで撃破した。この勝利でメジャー3大タイトル(3冠=全日本、IWGP=新日本、GHC=ノア)のシングル、タッグをすべて制覇するプロレス界史上初の偉業を達成。新王者は4月開幕のチャンピオンカーニバル参戦も表明した。

 血みどろの死闘だった。場外でのイス攻撃で開始5分後に両者流血。高山は同10分後、ムタのシャイニングウィザード3連発からの月面水爆を受け絶体絶命のピンチに陥ったが、不屈の闘志で反撃。この日3回目の緑の毒霧を、両手をクロスしてカバーすると、必殺のエベレストジャーマンでムタ退治に成功した。

 「おれが新チャンピオン高山善広だ」と高らかに勝ち名乗りを上げた。史上初のメジャー3団体ヘビー級のシングル、タッグ制覇。99年7月23日、大森と組んで、バート・ガン、ジョニー・エース組を破り全日本の世界タッグ王座戴冠から約9年10カ月をかけた偉業を成し遂げた。

 04年の脳梗塞(こうそく)から復帰後初タイトルだった。脳梗塞発症後も飲酒を続けた。1年後、たまたま新潟でタッグパートナーだった鈴木と朝まで飲み明かした。これが転機になった。「こんなに飲んでも大丈夫なら、その力をリングに向ければいい」と復帰を決意。付き合ってもらった友に感謝し、以降、現在まで禁酒を続けた。食事も鳥肉中心に切り替えるなど体調管理に努めた。昨年6月には鈴木の20周年記念大会メーンで友人と一騎打ち。敗れたもののシングル戦線完全復活に自信を得た。

 勝利後のリング上では鈴木とともに4月開幕のチャンピオンカーニバル参戦を表明。試合後の会見では鈴木らとビールで乾杯。「久々のビールはうまい」と復帰後初のアルコールを堪能した。15日にはIGF広島大会に参戦。「下火になった業界を盛り上げようって思わないレスラーはいないだろ」。完全復活したプロレス界の帝王が、今後のマット界に旋風を巻き起こす。【塩谷正人】