亡くなった三沢光晴さん(享年46)の遺訓は引き継がれる-。今年4月から、三沢さんらノア所属のレスラーとスタッフが講師を務める「スポーツ文化論」を開講した帝京平成大が、来年以降も講義を継続したい意向であることが17日、分かった。同大の関係者が明かした。ノアの協力を得られれば、4月の初回の講義で「成功は前向きな失敗の積み重ね」と力説した三沢さんの遺訓など、ノアのプロレスが、来年以降も同大の学生に伝えられることになりそうだ。

 4月からノアの選手、スタッフによる「スポーツ文化論」が開講した帝京平成大の東京・池袋キャンパスにも悲しみが広がっている。同大の総務課企画係東条唯之係長(37)は17日、「突然のことで、ショックを受けている学生も多いです」と話した。学生からは初回を担当した三沢さんの講義を「また受けたい」という声が多数寄せられていたといい、東条氏は「ノアさんには来年以降も続けて講義をお願いしたいと思っている」と話した。

 三沢さんは4月9日の講義でヒューマンケア学部はり灸学科の生徒ら約200人に「成功は前向きな失敗の積み重ね」「満足した時点で成長はない」「何もやらずに後悔するより、やって後悔しろ」などと語った。「学生は人生でもっとも悩んでいる時期。下手な話はできない」と、三沢さんはリング上とは違い、緊張した様子で必死に思いを伝えようとしていた。

 三沢さんらの講義は、同大地域医療学部柔道整復学科の木村都優司教授がノアのトレーナーを務める縁で始まった。1コマ1時間半で三沢さん以外にも小橋、秋山、力皇らが教壇に立った。7月9日には三沢さんが締めくくりの講義を行う予定だった。

 木村教授は「感銘を受けたという声が多い。生きざまに共感するようだ」と話し、同大の千葉キャンパスからは「来年はこちらでもやってほしい」と依頼が届いているとしている。ノアとの交渉窓口になっている東条係長は「選手と話す機会が多くなるほど、選手から信頼されている三沢さんのリーダーシップの強さを感じた。三沢イズムを引き継ぐレスラーの声を今後も生徒たちに伝えたい」と語った。【塩谷正人】