吉田戦は小川先輩の敵討ちだ!

 大みそかの「Dynamite!!」(さいたまスーパーアリーナ)で総合格闘家デビューする石井慧(23=アイダッシュ)が、吉田秀彦(40=吉田道場)戦の最大のテーマを「あだ討ち」と明言した。24日、遠征先の米ハワイ州から帰国して都内で会見。師と仰ぐ同じ柔道出身の小川直也(41=フリー)が、05年大みそかに吉田に完敗したことに言及し、「先輩の敵を討ちたい」と闘志を燃やした。「因縁対決」を前面に出すことで、モチベーションと視聴率を同時に上昇させるつもりだ。

 決戦を1週間後に控えたこの日、石井はあえて吉田戦にテーマを掲げた。帰国会見で気合を込めて言った。「お世話になった小川先輩の敵を討ちたい」。05年大みそかに吉田と対戦し、レフェリーストップ負けを喫した、尊敬する先輩の5年越しのあだ打ちを誓った。その上で「まず勝つこと。なるべく早く決めたい」と早期決着を明言した。

 学生時代から柔道世界王者の小川を師と仰いでいた。北京五輪前にも週1回、小川が主宰する神奈川・茅ケ崎市の小川道場に通い、絞め技など直接指導を受けていた。同五輪後は獲得した金メダルを道場に奉納したほど。吉田戦がいよいよ目前に迫り、「大先輩の屈辱を晴らす」というサイドストーリーを公言することで、自らの闘志をさらに燃え上がらせた。

 直前になって「因縁対決」を強調した裏には、石井らしい狙いもあった。「視聴率アップには因縁が必要」と自ら会見で明かした。11月のWBC世界フライ級タイトル戦の内藤-亀田戦が、今年最高の平均視聴率43・1%を記録。これを「同学年だし(視聴率で)亀田君に勝ちたい」と意識していた。ただ瞬間最高51・2%という数字を聞くと「じゃあ自分の(金メダル獲得時の)視聴率を超えます」。とりあえず北京五輪金メダル獲得時の関東地区平均25・4%超えに下方修正した。

 それだけ自信もある。11月に約2週間、米ラスベガスを拠点に練習。元UFCヘビー級王者フランク・ミアともスパーリングを行い、世界基準を体感した。4日からはハワイに拠点を移し、30ラウンド以上のスパーで実戦感覚を磨いた。今後の公開練習について「見せることで吉田選手がビビってしまうことを恐れてる。検討中です」と石井節も滑らか。総合格闘技転向表明から約1年。石井が満を持してデビュー戦に臨む。【塩谷正人】