<激突!!金の魂(3)>

 石井の恩師、国士舘高柔道部の岩渕公一監督(54)は「肩で息をし始めてからが強い。異常なスタミナと勝利への執念がすごい」と、石井の強さを証言する。

 高校時代から練習量は並外れていた。午前6時からランニング、ダッシュなど約1時間の朝練習。午後4時から同8時半まで道場で練習。さらに午後10時から約1時間、筋力トレーニングを続けていたという。同監督が「上半身だけじゃ駄目だ。下半身を鍛えろ」と助言すると、寮の消灯時間の午後11時を回ってから、グラウンドを黙々と走っていたという。

 2年の全国高校選手権の1週間前には、太もも付け根の筋肉を部分断裂する重傷を負った。「全治2~3カ月の重傷。前かがみになるのもやっとの状態」(同監督)で大会に出場し、4戦全勝で決勝進出に貢献。ライバル世田谷学園との決勝では、全員引き分け後の代表戦で優勢勝ちを収めて優勝を飾った。

 世田谷学園の出身の吉田もよく知る岩渕監督は、両者の柔道の違いをこう比較した。「技なら吉田。内またなど投げて1本が取れる。石井はかからない技を連発したり、寝技でぐじゅぐじゅ攻めたりスタミナ勝負。吉田がカミソリなら、石井はナタ。もし、全盛期に対戦させたら面白い試合になった」。総合格闘技での対決については「体力差が出たらあっけなく石井勝利。ただパンチが当たったりしたら分からん」と予想した。【塩谷正人】