【米ハワイ3日(日本時間4日)=藤中栄二】総合格闘家・石井慧(23=アイダッシュ)が対戦相手の体格に度肝をぬかれた。4日(同5日)の「X-1

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 EVENTS」(ブレーズデル・アリーナ)の前日計量がワード・エンターテインメント・センターで行われた。石井は対戦するマイルス・ティナナス(35=米国)と握手を交わし、その両腕の太さに驚きの表情。国内の試合契約を結ぶSRC首脳が視察する重要な一戦だが、いつもの石井節は影を潜め、弱気な言葉をつぶやいた。

 ハワイの太陽でこんがりと日焼けした石井の顔面が、みるみると青ざめた。前日計量で対戦するティナナスと顔を合わせた。104・8キロの石井に対し、相手は107・3キロで計量を終えたが、2・5キロの体重差以上の威圧感があったようだ。敵と握手を交わした後、石井は「あの腕、太くないですか。今日は寝られないかもしれない…」と、完全にびびってしまった。

 計量前までは石井節が全開だった。ティナナスと会うまでは「ノーモーションパンチと左右のボディーブローを狙う。マイク・タイソンならぬ、ロッキー・バルボアの面影をみるでしょう」「昔ながらのメガトンパンチを当てますよ」と絶好調。5月15日のプロ3戦目以来、約半月ぶりと試合間隔は短くても「ノーダメージ、ノーライフです」と胸を張っていた。ところが、相手の両腕の太さを目の当たりにすると「多少、痛い思いをしないとダメですかね」と、一気に弱気モードに変わっていった。

 石井のびびった様子が伝わったのか、敵も挑発的だった。自信満々にファイティングポーズを決められ「金メダリストとは知らなかった。オレはパンチもキックもひざ蹴りもオールラウンド。長い間、自分も柔道もやっている」と上から目線な言動だった。明らかに石井が勝利した過去の海外2戦とは違う“空気”が漂った。

 この日、国内試合契約を結ぶSRC向井徹社長がハワイ入りした。石井の試合を視察し、今後の試合オファーを検討する見通し。石井にとっては国内復帰戦を見据えた大事な一戦となる。09年大みそかの吉田秀彦戦からの成長を証明しなければならない。「怖くても打撃をやってみる」と言葉を振り絞った石井の表情に余裕はなかった。