<プロボクシング:東日本新人王決勝戦>◇3日◇東京・後楽園ホール◇観衆2500人

 歌手和田アキ子(60)の元マネジャーのスーパーフライ級佐藤宗史(29=石神井スポーツ)が「アッコ魂」で東日本新人王をつかんだ。客席から和田のパネルとホリプロの元上司らに見守られる中、清水大樹(25=横浜光)に判定勝ち。全日本新人王決定戦(12月19日、東京・後楽園ホール)に出場する。

 1回終了後、コーナーに戻る佐藤の視線が一点にくぎ付けになった。そこには、仁王立ちする和田アキ子のパネルが。「(入場時は)気づかなくて、1回の後に『あっ』って気づいた。(気持ちが)かちっとなりました」。気を引き締めるには、パネルで十分だった。パンチを受けてもひるまず攻め続けて判定勝ち。6戦全勝で、創設3年目にしてジム初の東日本新人王にもなり「ありがとうございまーす!」と絶叫した。

 和田の元サブマネジャーという経歴で注目を浴びた。だが、そんな重圧は約1年半のマネジャー時代に和田から学んだ「礼儀、忍耐、根性」をもってすれば何でもなかった。「怒られてばかりで、いつも極限状態でした」。この日も後半は消耗したが心にはゆとりがあった。「精神的に鍛えられたので(リング上で)怖いことはない。アッコさんは芯がある人。鍛えられた経験を生かして頑張りました」とほおを緩めた。

 西のMVP田中裕士(19=畑中)と戦う全日本新人王決定戦の日は、和田の看板テレビ番組が休みの予定。佐藤は「強いと思うけど社会の厳しさを教えてあげます」と力を込めたが、和田の来場については「いや、まだ大丈夫です」とたじろいだ。

 この日、観客席には「負けたら承知せんぞ!!

 和田アキ子&ホリプロ私設応援団」と書かれた横断幕もあった。「気づかなくて良かった」。真顔でつぶやいた佐藤だったが、「アッコ魂」継承者として負けられない戦いは続く。【浜本卓也】