<戦極ソウル・オブ・ファイト>◇30日◇東京・有明コロシアム

 現役内科医の池井佑丞(30=クロスポイント吉祥寺)は、09年のK-1甲子園覇者松倉信太郎(19=バンゲリングベイ・スピリット)に2回KO勝ちした。

 池井はわずか4分足らずで「オペ」を成功させた。2回開始直後、松倉にひざ蹴りから左右の連打と畳み掛け、試合を終わらせた。その前には右のカウンターで、人生初ダウンを喫した。そこから「目が覚めた。逆にスイッチが入った」と怒とうの反撃につなげた。

 敗北のふちから逆転KOへ。この試合を地でいくような人生を歩んできた。医師を志して杏林大に進んだが、バックパッカーとしてタイに渡るなど、気ままに生きた。2度の留年から一念発起、大学を8年かけて卒業。国家試験をパスした。

 今年から内科の勤務医として都内の病院、おじが経営する宮崎県の病院を行き来する。格闘技に費やすのは週に3日、1日1時間ほど。練習量にモノを言わせた根性論ではなく、効率良い練習でも強くなれることを証明したいという。「K-1甲子園王者に勝ったんだから、K-1に出させてください」。20代最後の日に、池井は格闘界へ鮮烈なメッセージを発信した。