WBC世界ミニマム級10位・井岡一翔(21=井岡)が快挙達成で「特別表彰」を引き寄せる。王者オーレドン(25=タイ)との世界戦は今日11日にゴング。井岡が国内最速7戦目で世界王座を獲得した場合、日本ボクシングコミッション(JBC)が史上2例目となる「特別功労賞」の贈呈を検討していることが10日、分かった。この日の計量は井岡がリミットちょうど、オーレドンが300グラムアンダーで一発パスした。

 井岡の快挙達成に備え、周囲も動きだした。JBC本部の安河内剛事務局長は「勝てば最速記録ですし、特別功労賞の検討に十分に値する。なにせ相手は40戦無敗の強い王者ですから」との考えを明かした。過去の受賞はWBC世界スーパーバンタム級王者・西岡利晃(帝拳)だけだ。

 そんな注目決戦を前にしても、当の井岡は冷静だった。「気負いはない。いつもと同じ気持ち。最速記録が更新される日を楽しみにしてほしい」。グローブの色は赤を選んだ。国内の世界戦では、挑戦者は青が一般的。試合のプロモーターを務めた父一法氏は「2011年2月11日、王者になるという意味を込めて赤色にした」と説明した。

 本来のライトフライ級から1階級落とした世界初挑戦。約10キロの減量に打ち勝った。ゆっくりはかりに乗った井岡は「リミットちょうど」のアナウンスを聞いてガッツポーズ。「終わってみたら、あっけなかった。気を緩めず、試合までの時間を楽しみたい」。

 壁を越えられるか。過去に7戦目で世界挑戦した国内選手は4戦全敗だ。「僕はアマチュアで100戦以上やってきた経験も自信もある。世界王者になるために十分なキャリアを積んできた」。リング上で証明した時、新たな歴史が刻まれる。【大池和幸】