<プロボクシング:WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇1日◇タイ・ハジャイ

 WBC世界スーパーフライ級9位の粉川拓也(26=宮田)が敵地で判定負けを喫した。序盤にスピードと連打で、王者ポンサクレック・ウォンジョンカム(33=タイ)と競り合ったが、中盤以降に強烈な左ストレートを浴びて動きが鈍くなった。最終12回まで粘るように連打で攻めたが、0-3の判定で敗れ、初の世界挑戦が終わった。

 07年以降、12戦全勝で手にした世界戦の切符。スーパーフライ級から自身初のフライ級への減量も成功し、タイに乗り込んだ。所属ジムの先輩で元WBC世界フライ級王者内藤大助の世界戦などで、4度も王者のファイトを生観戦していた。粉川は「内藤さんとやった時よりも強くなかったのに、かなわなかった。キャリアでやられた。経験不足ですね」とうなだれた。

 リング上でポンサクレックと抱き合った粉川は悔しそうに涙をグローブでぬぐった。これで日本人の海外での世界挑戦も32連敗。不名誉な記録を止められなかった。内藤の後継者として期待がかかる26歳は「今できることは出せた。出し切った感はある。会長や陣営の方々に申し訳ない。1回休んで、もう1度頑張りたい」と再起を誓った。

 ◆日本人のポンサクレック戦

 01年7月、王者ポンサクレックの初防衛戦の相手として浅井勇登が挑戦も5回TKO負け。02年4月には4度目の防衛戦の相手として内藤大助が挑戦も1回34秒KO負けを喫した。以後、のべ6人が挑戦し、連敗が続いたが、07年7月に3度目の激突となった内藤が12回判定で下し、日本人で初勝利した。これで粉川戦を含め、日本人のポンサクレック戦は1勝11敗1分けとなった。

 ◆日本人の海外挑戦連敗メモ

 92年4月、平仲明信がメキシコでWBA世界スーパーライト王座を奪取して以降、日本人の海外での世界挑戦は19年間、成功していない。92年4月、松本好二が韓国でWBA世界フェザー級獲得に失敗以後、今年6月に佐々木基樹がメキシコでWBC世界ライト級王座獲得を失敗するまで31連敗していた。