WBC世界ミニマム級王者の井岡一翔(22=井岡)が「秘密兵器」で関門の計量をクリアした。同級1位エルナンデス(24)との初防衛戦は今日10日にゴング。9日は都内で調印式後に前日計量が行われ、両者ともリミットから300グラムアンダーの47・3キロでパス。井岡は日本で1つだけという「水素イオン風呂」を活用して過酷な減量を乗り切った。会見では「必ずKOで勝つ」と世界戦2連続KO勝利を力強く宣言した。

 計量を終えた井岡は、穏やかな表情を取り戻した。ここ数日は減量による影響からか、ややピリピリムードを漂わせていた。温かいお茶と果物で喉の渇きを潤すと、約1カ月ぶりという本格的な食事に豚しょうが焼き定食をチョイス。ゆっくりと胃袋に運んだ。

 井岡

 最後の方はほとんど食べてなかった。玄米とか、野菜スープくらい。これで落ち着きました。

 50日間に及ぶ減量は厳しかった。ベスト体重はライトフライ級(48・9キロ以下)かフライ級(50・8キロ以下)。ミニマム級は2月の初挑戦でも経験済みだが、やはり過酷。ただ「周りの方のサポートで楽になった」と振り返った。「マザーズプール」と呼ばれる水素イオン風呂が、体重調整の大きな助けになった。

 兵庫・芦屋市内のクリニックだけにある天然ミネラルバスで、井岡は練習後にひんぱんに通った。母親のおなかの羊水と同じ成分を多く含むといい、発汗が多く脂肪燃焼を促進。井岡は「疲れがたまらない。(体重が)300グラムぐらい落ちたかなと思っても600グラム落ちていたときもあった」と効果を口にする。上京前の1週間はほぼ毎日入ってリフレッシュしてきた。

 プロ8戦目で初の東京での試合。国内最速7戦目で王座奪取した平成生まれ初の世界王者が、試練のV1戦を迎える。注目度を考慮し、放送局は録画から生中継に切り替えた。

 井岡

 「これぞチャンピオン」と誰もが疑う余地のない、いいパフォーマンスを見せたい。必ずKOで勝ちたい。すべてのラウンドにチャンスがある。8月10日を最高の日にしたい。

 揺るぎない、自信に満ちた顔だった。【大池和幸】