<プロボクシング:WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇8月31日◇東京・日本武道館
3度目の世界挑戦となったWBA世界スーパーフライ級7位清水智信(30=金子)は、世界2階級制覇の同級王者ウーゴ・カサレス(33=メキシコ)を2-1の判定で下して新王者となった。清水の戦績は19勝(9KO)3敗1分け。
金子ジムにとって8度目の世界挑戦で悲願の世界王者が誕生した。昭和の名選手だった元東洋太平洋フェザー級王者金子繁治名誉会長が65年にジムを創設。5年前に受け継いだ長男の金子健太郎会長(49)は、8月に80歳の誕生日を迎えた父をリングに上げた。「良いプレゼントをもらえた」と感謝されると、「オヤジが元気なうちに世界王者をつくりたかった」と感極まった。
日本武道館はジムにとって因縁の会場だった。80年6月、村田英次郎がWBC世界バンタム級王者のルペ・ピントールに挑戦したが、引き分けで王座奪取に失敗。王者がメキシコ人で中継がTBSという状況も当時と同じ。大学1年生だった金子会長はセコンドに入り、故エディ・タウンゼント・トレーナーをサポート。悔しさを味わい「世界王者をつくるためにこの業界に入りたい」と決意した。
クリスチャンの父から「王座は奪い取るものじゃない。与えられるものだ」と助言されてジムを引き継いだ。08年7月、内藤大助に逆転負けして王座奪取を逃した時、金子会長は清水にこう言った。「清水もジムも、まだ王者にふさわしくなかったということ。次の世界戦まで準備しよう」。ついにこの日、WBAの王座がジムに届いた。