ボクシング世界戦のビッグカードが、大みそか視聴率戦争を仕掛ける。12月31日、横浜文化体育館(予定)でWBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(31=ワタナベ)が暫定王者ホルヘ・ソリス(32=メキシコ)と王座統一戦、WBA世界フェザー級10位の細野悟(27=大橋)は同級王者セレスティノ・カバジェロ(35=パナマ)に挑戦するダブル世界戦(日刊スポーツ後援)が30日、発表された。ゴールデンタイムに生中継するテレビ東京は、紅白歌合戦など他局の強力な裏番組と視聴率で争う姿勢を前面に打ち出した。

 低迷するK-1や総合格闘技に代わり、ボクシングが大みそかに殴り込みをかける。恒例のテレビ東京による新春の世界戦中継が大みそかに緊急移動。開催日が発表された記者会見場も驚きの声が上がった。ゴールデンタイム生中継を決めたテレビ東京スポーツ局の伴田昭典副部長(43)は「大みそかゴールデンはテレビ界で最高峰の時間帯。紅白やダウンタウンの番組、また他局もボクシング中継があるとうわさされる中、ボクシングで勝負できると確信してぶつけました」と鼻息荒く熱弁をふるった。

 大みそかは00年以降、格闘技の祭典が「打倒紅白」を掲げて話題を独占した。00年の猪木祭りを皮切りに03年にはTBSがDynamite!!、フジがPRIDE男祭り、日テレが猪木祭りを開催し、紅白歌合戦との視聴率戦争が勃発。しかし06年にフジのPRIDE中継撤退以後、徐々に格闘技界が失速。今年は地上波放送も困難な状況だ。伴田副部長は「かつての視聴率戦争はボクシングがやります。テレ東の年間最高視聴率を取るために平均15%は狙う」と設定した。

 08年大みそかにWBA世界フライ級王者の坂田健史が地元広島でV5戦を開催して以来、3年ぶりの大みそか世界戦開催となる。日本人世界王者で1位のKO率を誇る内山はKOダイナマイトが愛称。パンチの破壊力を誇る細野はバズーカの異名を持つ。

 細野の師匠となる大橋ジム大橋秀行会長(46)は「ダイナマイトとバズーカで紅白をぶっ放してほしい」と期待。ボクシングが、大みそかテレビ視聴率の勢力図を変えられるか。【藤中栄二】