<プロボクシング:東日本新人王決勝>◇3日◇東京・後楽園ホール

 名門帝拳ジムのホープ尾川堅一(23)が、レベルの違いを見せつけて最優秀選手賞に輝いた。スーパーフェザー級で伊原健太(20)との全勝対決も、2回に左ボディーでダウンを奪う。さらに右フックで2回2分KO勝ち。20年間日本拳法で鍛えたパワー、スピードに勘の良さを存分に発揮した。技能賞はフェザー級の千波丈二(20)、敢闘賞はライト級・横山雄一(21)。勝者は12月18日に後楽園ホールでの全日本新人王で、西軍代表と対戦する。

 「ものが違うでしょ」。本田会長が自信の笑みを浮かべて言った。尾川は初回から右ストレートを何発もヒットし、あっけなく2回で勝負を決めた。左ボディーが右脇腹に鮮やかに命中。うずくまった伊原が立ち上がってきたが、連打のフィニッシュは右フック。「練習通り。気持ちよかった」と尾川は平然と言った。

 パンチが切れ、相手パンチもスエーでかわし、新人と思えぬ落ち着き。日本拳法で鍛えられた。父雅一さん(48)が愛知・豊橋で成和会という道場を持ち、尾川も2歳で始めた。小学時代に全国優勝、明大ではインカレ団体制覇、個人では全日本4位。拳法は体重無差別でパンチが得意とあって「一番レベルの高い格闘技で勝負したい」と09年に入門した。

 拳法では右の一撃必殺が売りで、ボクシングでも武器になった。ただ、左パンチ、ガード、リズムなど課題は多い。左ボディーは拳法でいう揚打(あげうち)。得意でなかったが「左でも崩していけるようになった」と幅を広げた。

 メダルもMVPも「あまりうれしくない。まず全日本。上には上がある」。拳法出身では渡辺二郎が世界王者になった。「目指しちゃいけない面もあるけど目標」と周囲を笑わせながらも、世界を見据えている。