WBA世界バンタム級王者の亀田興毅(25=亀田)が、故障による長期離脱でWBA側から休養王者扱いとなる可能性が高いことが11日、分かった。亀田は以前から両拳の不調を抱えていたが、4月の防衛戦(横浜アリーナ)で状態が悪化。完治まで数カ月を要する見込みで、WBAは亀田の王座を保持しながら、新たに正規王者を立てる暫定処置の検討に入った。

 WBAは亀田の4度目の防衛後、バンタム級暫定王者ウーゴ・ルイス(23=メキシコ)との指名試合実施を両陣営に通達していた。昨年中からの交渉が年明けに1度決裂した経緯を踏まえ、今月中にも仲介に乗り出す予定だった。亀田側も8月に開催する方針を固めていたが、今回の故障で白紙に。戦列復帰のめどが立たず、その間にルイスや世界ランカーが王座挑戦の機会を失わないよう、新たな対応策が必要となった。

 WBAでは昨年11月、スーパーフライ級王者だった清水智信(金子)を故障のため休養扱いとした前例がある。その間にテーパリット・ゴーキャットジム(タイ)を正規王者とし、4月に統一戦を実施。敗れた清水が王座陥落した。亀田も同様のケースと判断する可能性は高く、世界ランクを更新する来月上旬にも、亀田を休養王者とする見込み。

 亀田は両拳の治療を最優先に調整しているものの、完治後もなお戦列復帰までには時間を要すると思われ、現状では年内の戦列復帰は難しい状態。復帰後も再発の危険やブランクを抱えて王座統一に臨まなければならない。10年12月に現王座を奪取し、日本人初の3階級制覇王者となった亀田が、大きな試練を迎えた。

 ◆WBAバンタム級の現状

 事実上、3人の王者が並立。正規王者・亀田のほかに、スーパー王者アンセルモ・モレノ(26=パナマ)と、暫定王者で世界同級1位のルイスがいる。モレノは10年8月の7度目の防衛後にスーパー王者へ昇格し、4カ月後、空位となった正規王座を亀田が獲得した。ルイスは昨年1月に暫定王座決定戦を制し、3月に3度目の防衛に成功。