高校生史上初のアマ7冠を獲得した井上尚弥(19=大橋)がプロデビュー戦で東洋太平洋のトップランカーと戦うことが7日、分かった。東洋太平洋ミニマム級1位クリソン・オマヤオ(19=フィリピン)と10月2日、東京・後楽園ホールで対戦する。

 高卒ルーキー史上初の東洋太平洋トップランカーとの対戦。試合を組んだ師匠の大橋秀行会長(47)は「スピード、パンチ力もある。危険な相手」と心配を隠せない。それでも、19歳の怪物は「全然大丈夫。問題ないですよ」と平常心を保った。

 高校1年で高校3冠、同3年でアマ最高峰の全日本選手権を制した怪物。先月にはプロテストとして、日本ライトフライ級王者の黒田雅之とスパーリングし、現役王者を何度もコーナーに追い詰め、実力を証明した。当初、デビュー戦は日本人対決を計画していたが、日本人の世界ランカー、日本ランカーへの対戦オファーはすべて断られた。関係者の評価の高さ、警戒感の強さを物語った。

 日本初の世界統一王者・井岡一翔(23)を超える国内最速6戦目での世界王座奪取が目標。デビュー戦後は、2戦目で世界ランカーと戦い、3戦目で日本王座挑戦。日本王座奪取なら4戦目で防衛戦を行い、5、6戦目で世界挑戦の野望を抱く。今日8日からは前WBA世界同級王者の八重樫東、日本同級1位原隆二らジムの先輩とスパーリングを積む。「映像を見たけど、怖さはない。自分のボクシングをすれば勝てる」。異例のデビュー戦も、怪物にとっては通過点にすぎない。

 ◆井上尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日、神奈川・座間市生まれ。小1で元アマ選手の父真吾さんに師事。相模原青陵高1年でインターハイ、国体、全国選抜と3冠達成。3年時に国際大会プレジデント杯、全日本選手権を制覇し、アマ7冠。アマ通算75勝(48KO・RSC)6敗。163センチの右ボクサーファイター。家族は両親と姉、弟。