<プロボクシング全日本新人王決定戦>◇16日◇東京・後楽園ホール

 東日本MVPが、中日本MVPをKOで倒してMVPに輝いた。スーパーフライ級斉藤裕太(25=北沢)は、これまで4戦すべてKO勝ちの強打の冨山智也(24=蟹江)を相手に最終回ラッシュ。5回2分32秒、TKO勝ちして、頂点に立った。

 斉藤が愛妻の美穂さん(24)との約束を果たした。東日本新人王でMVPをとった斉藤は「全日本でも勝ってMVPになって、日本ランキング入り」を誓った。美穂さんに「じゃあ、負けたら引退だよ」と、笑いながらプレッシャーをかけられた。「これで暮れから正月は、嫁の実家の宮崎に胸を張って帰れます」とホッとした表情を見せた。

 立ち上がりから冨山の右ストレートに苦しんだが、左フックから右ストレートのコンビネーションで挽回。最終回に狙い通りの猛ラッシュで、相手をキャンバスに沈めた。「相手のパンチ力が強くて、まずいなと思った。でも、自分の力を出し切ってKO勝ちできた。これから、もっと勝ち進んで日本タイトルを取りたい」と意欲を見せた。

 1歳5カ月になる長男太一君が生まれてから、2連敗を喫した。必勝を喫して、太一君の名前をシューズに入れた。それから5連勝。「もう、情けなくてね。練習するしかない、と。それが今日につながりました」と振り返る。「でも、しょっちゅう自分の名前が太一だと間違われちゃうんですよね」と笑う。次は日本の頂点が待っている。【小谷野俊哉】