前WBA&WBC世界ミニマム級王者の井岡一翔(23=井岡)が、相手のKO宣言を一蹴した。WBA世界ライトフライ級5位ホセ・ロドリゲス(23=メキシコ)との同級王座決定戦(大阪・ボディメーカーコロシアム)は今日31日にゴング。30日は大阪市内の家電量販店で公開計量が行われ、井岡は一発でパス。1回目で200グラムオーバーし2回目でパスしたロドリゲスから「KOで勝つ」と挑発されたが、「意気込みあるのはいいこと」と余裕の対応。日本人最短11試合目での2階級制覇へ自信をみなぎらせた。

 顔をしかめてKO宣言してきたロドリゲスに、井岡は余裕の笑みを返した。調印式終了後の会見で「KOで勝つ」と語気を強めた相手に対し、23歳の日本のエースはサラリと応じた。

 井岡

 それくらいの気持ちというか、意気込みで来るのはいいこと。それくらいじゃないとボクには勝てない。あとは、どっちが強いか、リングの上で証明するだけです。

 相手の挑発にも、心はピクリともしない。落ち着き払った姿が、自信の大きさを表していた。

 計量も対照的だった。ヒョウ柄パンツをはいて一発クリアした井岡に対し、ロドリゲスは約500人の観客が見つめる前で素っ裸になりながら200グラムオーバー。約1時間後の2回目の計量で、何とかリミット48・9キロでパスした。「これもショーの一部さ」と強がった相手を、井岡は「ゆっくりしてほしい」と笑顔で思いやるほどだった。

 2年連続の大みそかの大舞台。プロ通算11試合で迎える今年は、偉業が懸かっている。勝てば、叔父の井岡弘樹会長(43)と亀田興毅が22試合目で達成した2階級制覇の日本人最短記録を大幅更新できる。しかも、過去8人の日本人2階級王者の中で、両階級ともKOで獲得した選手はいない。昨年2月のWBC世界ミニマム級王座を5回TKOで奪っている井岡には、日本人初の“2階級連続KO獲得”の期待が高まる。

 井岡

 すごくいいコンディションを作ることができた。必ず記録が生まれる日だと思っている。今年最後の盛り上がりをお見せしたい。来てもらうお客さんのためにも、できればKOで決着したい。

 記録に残る勝利は、記憶にも残るKO劇で-。新たなベルトを腰に巻く準備は、すべて整った。【木村有三】