号泣王者が誕生した。WBA世界ミニマム級2位宮崎亮(24=井岡)が無敗で世界王座を獲得した。元同級王者で同級4位ポンサワン・ポープラムック(34=タイ)に判定2-1で勝利。中学時代は少年鑑別所入りした経験もある元不良少年が夢をつかんだ。宮崎の戦績は18勝(10KO)3分け。

 試合終了から30分後、女手ひとつで育ててくれた母恵美子さん(50)が祝福にきた。「おめでとう」と言われ、涙がこぼれた。元不良少年は勝ち名乗りを受けて泣き、ベルトを巻いて泣き、控室に戻って泣き、母の顔を見て泣いた。「夢がかなってうれしい」と涙目で笑った。

 クロスゲームを制した。被弾覚悟で前進する元王者に、足を使って対抗。4回には右を受けて腰を落とした。「絶対にあきらめない」。得意の左フックを軸に、打ち合いにも応じた。11回には強烈な左フックから連打を集めてダウン寸前に追い込んだ。ラストスパートが決め手となり判定2-1で勝利した。

 中学時代は、けんかに明け暮れた。少年鑑別所に入ったこともあった。しかし宮崎が小5のときに離婚し、女手ひとつで育ててきた恵美子さんが涙を流して鑑別所に来てくれた日のことを、宮崎は忘れもしない。「オカンの泣いた顔見て、ちゃんとやらなって思った」。中3夏に井岡ジムに入り、興国高ではボクシング部に入部。同級生の井岡を見習い、学べるところはすべて学んだ。泣き虫チャンピオンは「もう自分の子どもができるまで泣きませんよ。伝説をつくるのは今から。統一戦ができたらうれしい」。同僚の井岡に続く日本人2人目の統一王者を野望に掲げた。

 ◆宮崎亮(みやざき・りょう)1988年(昭63)8月20日、大阪・堺市生まれ。15歳で井岡ジム入門。アマ通算34戦30勝(15KO・RSC)4敗。06年プロデビュー。09年10月日本ライトフライ級王座、10年6月東洋太平洋同級王座。ニックネームは「浪速の番長」「リアルドンキーコング」。身長155・8センチの右ボクサーファイター。家族は母恵美子さんと弟、妹。