世紀の番狂わせでWBA世界スーパーフライ級新王者となった河野公平(32=ワタナベ)が、ボクシング界の注目の人になった。2日、大みそかを沸かせた3大世界戦の3人の王者の会見が都内で行われた。2度目の防衛を果たしたWBC世界スーパーフライ級王者佐藤洋太(28=協栄)が、河野に統一戦を持ちかけ、元同級王者名城信男(31=六島)陣営からの対戦要求も判明。WBA同級2位亀田大毅(23=亀田)の名前も挙がるなど、河野の周囲が一気に騒がしくなった。

 喜びに浸る暇もない。新王者として迎えた“2夜明け”の会見で、「先のことは何も考えられない」と言葉に詰まった河野だが、周囲の動きはそんな余裕すら与えなかった。まず、WBC同級王者で2度の防衛を果たした佐藤が「河野さんにケンカを売るわけじゃないが、同じ階級で世界チャンピオンを名乗る日本人は1人でいい。来年は、スーパーフライ級最強を示したい」と、強烈な対戦要求を突きつけた。

 さらに、渡辺均ワタナベジム会長が「名城君のところからオファーがありました」と明かした。名城陣営からは、新王座獲得の余韻さめやらぬ1日未明に電話があったという。また、同じ階級には、11年12月に前王者テーパリットに挑戦して敗れ、現在同級2位の亀田大毅もいる。無名だった河野を一夜でビッグネームが取り囲んだ形だ。

 河野の次期世界戦は、通常ならWBAによる同級1位との指名試合になる。しかし、交渉がもつれた場合は入札となり、2位の亀田大毅が指名試合の相手となる可能性も出てくる。渡辺会長は「亀田大毅は大歓迎。日本人同士の方が盛り上がりますから」と歓迎。

 佐藤との統一戦は、両陣営の思惑もあり、ともに2、3回の防衛を果たしてからということになりそうだ。テーパリットとの世界戦前の契約で、世界戦のオプションを2試合テーパリット陣営が持つが、こちらは交渉次第。そうなると、指名試合か亀田大毅という線で、次期世界戦が組まれる可能性が高い。亀田ジムの木村マネジャーは「まだ、話はしていないが、河野選手とやるのは何も問題がない。大歓迎です」とこちらも歓迎。河野は「大毅とはスパーリングをやったことがある。いろいろ言う人はいますけど、彼は強いですよ」と亀田についての評価を口にした。河野を中心に回り出したWBAスーパーフライ級戦線。3月末の初防衛戦の相手は、果たして誰になるのか?【桝田朗】