27日に川崎市とどろきアリーナでWBA世界フライ級王者フアン・カルロス・レベコ(29=アルゼンチン)に挑戦する同級9位黒田雅之(26=川崎新田)が20日、川崎市内のジムで公開練習を行った。同市内ジム所属の選手が、同市で世界タイトル戦を行うのは史上初。「川崎から世界へ」を合言葉にする新田渉世会長は「作戦は宮本武蔵の五輪書の『先の先』。先に仕掛けていい結果を出したい」とベルト奪取を誓った。

 「先の先」とは五輪書の火の巻にある3つの先の1つ。相手が動作を起こす気を感じてその前に攻撃を仕掛けることをいう。黒田は小1~中3まで剣道を習い2段の腕前。その時のスタイルは「典型的なカウンター」(黒田)というが、世界挑戦が決まり、先に仕掛ける練習を積んできた。

 これまで約130ラウンドのスパーリングをこなしてきたが、そのうちの約50回を高校生初のアマ7冠の怪物・井上尚弥(19=大橋)と行った。黒田は、井上のプロテストの相手を務め、一方的にやられたが、あえてその怪物と拳を合わせ、レベコ対策を練ってきた。「横浜の『虎の穴』(大橋ジム)で技術的にも精神的にももまれてきた」と新田会長。黒田は「世界王者になりたいと10年やってきた。勝って川崎のみなさんに感謝の気持ちを表したい」と意気込んだ。【桝田朗】