<総合格闘技:UFC

 JAPAN

 2013>◇3日◇さいたまスーパーアリーナ

 旧PRIDEミドル級王者・ヴァンダレイ・シウバ(36=ブラジル)が、約6年半ぶりの日本凱旋(がいせん)マッチで完全復活を印象づけた。UFCに吸収されたWECの元ミドル級王者ブライアン・スタン(32=米国)と激突し、緊張感たっぷりの殴り合いを展開。急所攻撃のアクシデントも乗り越え、左フックでダウンさせてのパウンド連発で仕留めて2回4分8秒、KO勝ちした。昨年6月の黒星以来の再起戦を飾り、2437日ぶりに日本のファンに白星をささげた。

 シウバらしく、ド派手にメーンを締めた。前に出てくるスタンの重圧に負けず、打撃戦に入った。1回には右フックでダウン寸前まで追い込まれた。下腹部に敵の膝蹴りが入るアクシデントもあったが、逆に右フックで敵をぐらつかせた。2回には2度目の急所攻撃で中断。だが下腹部をさすって回復を急ぎ打撃戦に戻ると一瞬のフェイントで勝負を決めた。

 左斜め下にかがみ、スタンが両腕ガードを緩めた瞬間、丸見えの顔面に素早い右拳をぶち込んだ。敵の動きを止めると今度は左フック一閃(いっせん)。倒れた相手顔面に右拳を4連発して白星をもぎ取った。日本では06年7月1日、PRIDE無差別級GP準々決勝の藤田和之戦の1回TKO勝ち以来、2437日ぶりの白星。約1万4000人の絶叫に応えるようにケージによじ登り、両手を上げて「元気デスカ!」と日本語であいさつし、会場を沸かせた。

 最初からシウバ劇場だった。PRIDE時代からの入場曲サンドストームで花道を歩き、テレビカメラが近づくと両手を握ったまま手首を回す得意ポーズ。絶対王者と呼ばれた当時と同じ鮮やかなKO勝利を決め「レフェリーが止めるまで戦い続けたことを誇りに思う。私の人生で最高の瞬間。幸福感ですごく満たされている」と、自らのプライドをかけた勝利に満足の笑みを浮かべた。

 昨年6月のフランクリン戦で判定負けし、07年のUFC復帰後は3勝5敗と黒星が先行。一時は「最後はブラジルと日本で試合したい」と引退示唆したという。1月下旬、拠点の米国を離れて試合直前まで母国ブラジルで調整して臨んだ瀬戸際のスタン戦だった。再起戦をクリアし「とても健康状態はいい。ここで仕事をやめるつもりはない」と強調。さいたまスーパーアリーナで、絶対王者が健在ぶりを証明した。【藤中栄二】

 ◆ヴァンダレイ・シウバ

 1976年7月3日、ブラジル・パラナ州クリチバ生まれ。99年9月、PRIDE7に参戦し04年まで負け知らずで「絶対王者」と呼ばれた。初代PRIDEミドル級王者。07年にUFCと契約。180センチ、93キロ。