日本ライトフライ級1位の「怪物」井上尚弥(20=大橋)が、初の地元凱旋(がいせん)マッチで父に日本王座奪取の誕生日プレゼントを贈る。

 8月25日、神奈川のスカイアリーナ座間で同級王者・田口良一(26=ワタナベ)に挑戦することが25日、発表された。プロ4戦目での王座奪取となれば、90年の辰吉丈一郎以来の日本最速タイ記録。都内で記者会見に臨んだ井上は「辰吉さん以来の記録。今まで意識していた記録ではないですが、戦う以上は記録をつくりたい」と自信に満ちた表情で宣言した。

 出身地・座間市での日本王座挑戦を受け、会見には市のマスコット「ざまりん」と遠藤三紀夫市長も同席した。大橋秀行会長は「世界を目指す上で、これが最初で最後の地元凱旋になるかも」と言う。地元で記録のかかる日本王座に挑戦する井上は「いつも以上に気合が入る」と声を弾ませた。また試合前日はトレーナーの父真吾氏の42歳の誕生日。井上は「1日違いのプレゼントですかね」と照れながらの申し出に、父は「最高のタイミング」と期待を寄せた。

 会見後、同門のWBC世界フライ級王者の八重樫東と今年初めて拳を交えた。接近戦から激しく打ち合い、緊張感ある5回のスパーリングを展開した。WBA世界ライトフライ級3位でもある田口を倒せば、世界ランキング入りも待っている。「来年の今ごろは世界王者でおかしくないかな」。王座という“獲物”を確実に奪う意気込みだ。【藤中栄二】