WBC世界バンタム級王者・山中慎介(31=帝拳)が、「攻めのガード」で5連続KO防衛に挑む。16日、東京・新宿区の帝拳ジムで6度目の防衛戦(23日・大阪城ホール)に向けて練習を公開した。ファイタータイプの同級3位シュテファーヌ・ジャモエ(24=ベルギー)の1発を警戒し、右のガードをフェイントのように使って動きを止める対策を練ってきた。調整は順調で「神の左」でのKO勝ちに自信を示した。

 山中は得意の左ストレートでスパーリングパートナーを圧倒するなど、長期防衛を続ける王者の貫禄を見せつけた。5戦連続のKO勝利に向けて「今回は相手が向かってくる分、やりやすい。タイミングが合えば序盤に終わってしまいそう。記憶に残るパフォーマンスを続けていきたい」と自信をみなぎらせた。

 V6戦のポイントは、好戦的なジャモエの動きをいかに封じるかだ。ここ2戦とはタイプの違う相手に「足を止めてじっとしていたらどんどん手数がくる。相手との距離を意識しておかないと危ない」と警戒心を示す。それでも「攻めのガード」で対策は万全だ。

 左利きの山中にとって前の手である右のガードを、通常より高い位置に保ち、相手に圧力をかける練習を徹底してきた。大和心トレーナーは「(相手に)動き回られるのがいや。高い位置でクイッ、クイッと上下に数センチ動かすだけで、左を怖がって相手の足が止まる」と効果を説明する。山中も「右足を踏み込める距離をいかに作れるか」を試合のポイントに挙げる。相手が「攻めのガード」によって前に出られなくなれば、1発を浴びるリスクも減る。最後は余裕を持って得意の左ストレートを突き刺すという戦法だ。

 吉兆も感じている。先月18日に第2子となる長女梨理乃(りりの)ちゃんが誕生。長男の豪祐君が生まれたのも12年11月のV2戦の約1カ月前と、験の良さを実感している。「子供のためにも頑張る」と力を込めた山中が、両手を駆使して、結果を出す。【奥山将志】