長谷川穂積(33=真正)が、ボクシング人生のすべてを懸けて3階級制覇に挑む。IBF世界スーパーバンタム級王者キコ・マルティネス(28)との3年ぶりの世界戦は今日23日、ゴング。22日は前日計量を行い、一発でクリアした。長谷川は、勝てば世界戦勝利数が現役単独トップの13勝になり、具志堅用高の国内史上最多14勝にも「あと1」に迫る。

 長谷川が、力強くマッスルポーズを決めた。「今までで一番うまくいった」という減量で、前日計量もリミットの55・3キロで一発クリア。「いい状態を作れたので自信がある。ボクシングが好きだという気持ちを練習で再確認できた。それをぶつけられれば」。王者マルティネスとにらみあうこともなく、余裕の笑顔で握手を交わした。

 計量後は、ミネラルを含んだ経口補水液と100%オレンジジュース、おにぎり3個を食べた。会場を出ると、鶏肉入りのうどんも口にした。IBFは今日23日に当日計量もあり、増量幅は4・5キロと定められているが、管理栄養士と綿密に連絡を取る長谷川に不安はない。エネルギー分になる炭水化物を中心に、脂身の少ないステーキも食べて、本番に備えた。

 負けたら引退を覚悟して臨む大一番。「これから、どうなるか分からない」と勝っても進退は流動的だが、関係者によると防衛戦やスーパーフェザー級に転向しての4階級制覇プランも本人の心の片隅にはあるという。しかも、勝てば亀田興毅と並んでいる世界戦勝利数が国内現役単独トップの13勝目となり、具志堅用高の歴代最多14勝にもあと1勝に迫る。

 攻撃的な王者マルティネスを「気持ちも強くガンガン前に出てくる」と警戒しつつ「そういう相手に勝ってこそチャンピオン」と力を込める。「1つの区切りとして、僕としては大きな試合。自分のボクシングを出し尽くす。結果がついてくれば一番いい」。持てる力を出し切る。【木村有三】

 ◆主なルール

 採点は10点法でフリーノックダウン制。4回までに偶然のバッティングで続行が不可能な場合は引き分け、5回以降は採点。バッティングで負傷した場合、故意なら負傷のない選手から2点減点。そのまま試合続行後に正当な加撃で傷が悪化して負傷判定になった場合、負傷者が採点で劣っていても引き分け。日本製8オンスグローブを使用。試合はドーピングテストを実施。レフェリーはロバート・バード(米国)。ジャッジはヒューバート・アール(カナダ)、ロバート・ホイル、カルロス・オルチス(ともに米国)。

 ◆日本人の世界3階級制覇

 達成者は亀田興だけ。06年にWBAライトフライ級王座を獲得した亀田は、09年にWBCフライ級王座も獲得。初防衛戦で敗れて陥落も、10年にWBAバンタム級王座決定戦を制し25戦目で3階級制覇を達成した。