3年ぶりの世界戦で敗れ引退濃厚となった元2階級王者の長谷川穂積(33=真正)が一夜明けた24日、神戸市内のジムに姿を見せた。7回TKO負けした23日の試合後は大阪市内の病院に直行し、右眼窩(がんか)底と鼻骨骨折の診断を受けたが、切れた左まぶたを縫うだけで即日退院。この日、サングラスで傷痕を隠した長谷川は「また、あらためて会見しますのでよろしくお願いします」と話しただけで帰路についた。

 ボクシング人生すべてを懸けて戦った満足感からか、表情はにこやかだった。試合後の自身のブログでは「もっと足つかったりカウンター練習したりいろいろしてたんですが、試合で出せなくなった自分がいます」と、力の限界をにおわせた。さらに「リングにあがってみんなの歓声を聞いてボクシングしててよかったと思った。完治するまではゆっくりします」などと記した。引退会見の時期は、傷が癒える5月以降になりそうだ。

 長谷川と二人三脚で歩んできた山下会長は「勝たそうと思って一生懸命やってきた。結果は仕方ないけど、勝ちたかったな」と無念さを吐露しつつ「『第2の長谷川』を作らないと。ジムを引っ張る選手がほしい」と、後継者育成にも目を向けた。【木村有三】