<新日本:G1クライマックス24>◇7月31日◇静岡・アクトシティ浜松◇観衆3100人(超満員札止め)

 棚橋弘至(37)が石井智宏を下し、4勝2敗の勝ち点8でAブロック首位に並んだ。負ければ優勝争いから1歩交代の危機に、エースの意地で踏みとどまった。同ブロックは中邑、柴田、ベンジャミンと4人が勝ち点8で並ぶ混戦模様。

 2度、3度と痛めている首に石井のラリアットを浴びた。ふらふらになりながら、棚橋は石井のほおにビンタを飛ばし、続けざまにラリアット。昨年11月の石井戦以来という珍しいラリアットで流れを変え、最後はハイフライフロー。「あれだけ(ラリアットを)食らっていたので、1発返してやろうと。見よう見まねだよ」と試合後、苦笑した。

 エースの意地だった。前の試合で柴田が勝ち、中邑も勝って勝ち点を8に伸ばしていた。ここで負ければ優勝戦線から後退する。「史上最大の大会で優勝してこそ100年に1人」と狙っている優勝をあきらめるわけにはいかない。普段は使わないラリアットを出してまで勝ちにこだわった。

 ダメージを受けていても試合後は15分間、マットの上でエアギターなどのファンサービス。毎日、自分のブログを更新し、専門誌にもコラムを書くなど発信を欠かさない。「プロレスの斜陽の時代を経験して、放っておいたら沈んでいく。だから発信するんです」。

 エースとして団体を背負い、プロレスを背負う。使命感がG1制覇へと向かわせる。3日の大阪大会は中邑戦。「高く、高く、より高く舞い上がりますよ」。棚橋は2度目の優勝へ突き進む。【桝田朗】