<新日本:G1クライマックス24>◇8日◇横浜文化体育館<テレビ朝日・野上アナの実況席から>

 中邑真輔選手(34)が創造した新たな価値は、勝ち負けを超越した場所にあるような気がしています。極論を言えば、試合に敗れたのにファンの記憶に残っているのは、勝者よりも中邑選手の方だったり…。彼には言葉にし難い、特別な魅力とオーラが備わっていると感じています。

 2年ほど前でしょうか。“実況”について話をしたことがあります。

 「プロレスラーをちゃかす実況は、好きじゃない。真剣に伝えてほしい。熱すぎるくらいでちょうどいいんじゃない?」

 くねる体とは正反対に、真っすぐ貫いたプロレスラーとしての信念。その根底にあるのは「ストロングスタイル」ただ1つ。だからこそファンは、“くねり”“たぎり”“イヤァオ”と叫ぶ、ともすれば古き良き昭和のストロングスタイルとは対照的な彼を「キング・オブ・ストロングスタイル」と敬意を表し、称するのだと思います。