元世界2階級制覇王者のホルヘ・リナレス(29=帝拳)が、超攻撃的スタイルで悲願の3階級制覇を果たす。今月30日のWBC世界ライト級王座決定戦(日刊スポーツ後援)に向け、22日に都内のジムで練習を公開。09年のスーパーフェザー級王座陥落から5年。代名詞のスピード重視の戦い方から脱却し、力強く、強引に攻め抜くスタイルを習得した。来年には結婚も控え、巡ってきたチャンスにすべてをかける。

 17歳で来日してから12年。リナレスは「今回は本当に調子が良い」と流ちょうな日本語で繰り返した。スパーリングではワンツーで相手をのけぞらせるなど、重みの増したパンチを随所に披露した。09年のスーパーフェザー級王座陥落後、3階級制覇を目標に据えた。だが、11年のWBC世界ライト級王座決定戦は、序盤から圧倒も、逆転で11回TKO負けし涙をのんだ。

 帝拳ジムの浜田剛史代表は「スピード頼りだったが、ライト級ではパワーも必要。隙を突くのではなく、隙がなくても壊しにいく。5年間苦しみながら攻撃的なスタイルを作ってきた」と説明した。以前よりも足幅を狭め、ディフェンスでも体を相手方向に振ることで、瞬時に攻撃につなげる動きを意識した。リナレスも「パワーが強くなった。チャンスがあればKOできると思う」と胸を張った。

 来年には、日本で同居を続ける婚約者のミッチェルさん(23)と、約2年間の交際を経て、結婚する予定だ。スパーリングの日程に合わせて肉料理を準備してくれるなど、心身ともに大きな支えとなっている。「まずはチャンピオンになることだね」とリナレス。「こんなチャンスはもう来ないと思う」。強い覚悟でリングに立つ。【奥山将志】