WBA世界スーパーフェザー級王者内山高志(35=ワタナベ)が、日本人の頂点に躍り出る!

 31日の同級8位イスラエル・ペレス(35=アルゼンチン)との9度目の防衛戦を控えた28日、都内のホテルで予備検診に臨んだ。勝利すれば、長谷川穂積の持つ日本人世界王者の在位記録5年0カ月を更新することが確実。丸1年ぶりの試合で、日本ボクシング界のエースが歴史に名を刻む。

 ペレスと初対面した内山は、丸1年ぶりのリングへの欲求を抑えるかのように言った。「早く試合がしたいですね。早く水曜日を迎えたい」。報道陣から挑戦者の右脇腹にタトゥーがあることを指摘されると「標的になりますね…って言わせようとしてるでしょ」と笑顔で返すなど、最後まで自然体そのもの。「コンディションはばっちりです」と言い切り、王者のオーラ全開で会場を後にした。

 V9戦では「日本一」の称号もかかる。現在、内山の世界王座在位期間は4年11カ月で日本人2位。渡辺均会長は「拳の状態次第だが、来年は3試合を考えている」と話しており、次戦は春ごろになる見込み。今回勝てば、長谷川穂積の5年0カ月を抜くことは確実で、日本ジム所属王者でも、ロシア出身の勇利アルバチャコフの5年4カ月の記録も視界に入ってくる。

 長期政権を支えるのは徹底した自己管理だ。この日の検診結果でも、胸囲、首回りなど数値は、昨年のV8戦時と比較してもほぼ同じ。試合から離れても、常に体重をコントロールすることで、減量はわずか3キロ。「この年齢までやれているのは、無駄なところで体重を落とさなくていいから」と言い切った。前日の練習後にはリミットをクリアしたことも明かした。

 年末は世界戦だけで8試合と、ボクシング界に注目が集まるが「結果的に『内山』となればいいが、目立ちたいとかはない。ただ勝てればいい」。KOでファンを魅了し続けてきた強打者が、リングに戻ってくる。【奥山将志】