大みそかに9度目の防衛戦を控えるWBA世界スーパーフェザー級王者内山高志(35=ワタナベ)が29日、都内のホテルで調印式に臨んだ。挑戦者のイスラエル・ペレス(35=アルゼンチン)から早期KOを予告されるも、笑顔で一蹴するなどベテラン王者らしく堂々と振る舞った。親交がある卓球の石川佳純(21)も会場に応援に駆け付ける予定で、声援への感謝は爽快な勝利で伝えるつもりだ。

 ペレスから「5回以内にKOする」と挑発を受けても、内山の表情は微動だにしなかった。会見を終えると「何の根拠があるのか分からないが、試合をすれば分かる」。笑みを浮かべながら、相手の“先制攻撃”をいなした。「どういう戦法で来ても問題ない。練習通りに戦えば間違いなく勝てる」。淡々と話す姿に、8度の防衛を重ねてきたプライドがにじみ出た。

 若きアスリートから刺激も受けた。今月15日、かねて親交のあった卓球女子のエース石川が都内のジムを訪れ、激励を受けた。「元気で明るい子だし、試合前にうれしかった。他のスポーツのトップでやっている選手と接するとパワーをもらえる」と話した。試合も観戦する予定で「楽しんでもらえれば」と、勝利で感謝の思いを伝えるつもりだ。

 11月に35歳となったが、老け込む気はない。勝利すれば、西岡利晃が持つ35歳2カ月の日本人最年長防衛記録に肉薄する2位となるが「全然気にしていない。まだまだ若い気だし、現役でいる限りは勝ち続けるだけ」と言い切った。4年連続となる大みそかのメーンイベンターは「勝って良い年越しをしたい」。力強く防衛を誓った。【奥山将志】