<プロボクシング:IBF&WBO世界ミニマム級王座決定戦12回戦>◇12月31日◇大阪・ボディメーカーコロシアム

 高山勝成(31=仲里)が、日本人初の世界4団体制覇に成功した。日本ミニマム級王者の大平剛(30=花形)を7回2分24秒TKOで下し、IBFとWBOの両王座を獲得。ただ1つ手にしていなかったWBOを射止め、同級では世界初の4団体ベルト総なめを実現した。身長158センチの「小さな巨人」が快挙を成し遂げた。

 打ちまくった。殴りまくった。夢をかなえるため、高山が鬼になった。7回だ。大平をロープに追い詰めると、右から、左から、下から、パンチを打ち続けた。「チャンスなのでこの回で仕留めるつもりでいった」。何とか踏ん張る相手に、レフェリーが止めるまで94連打。世界戦では自身初のTKOで、日本人初の4団体制覇を成し遂げた。

 「4団体とるために11年間、ミニマム級にとどまって突っ走ってきた。やっと達成できたことを誇りに思うし、うれしいです」。最軽量級での4冠は世界初。158センチの小さな体に、4本のベルトを巻きつけて偉業の喜びに浸った。

 一時は消えかけた夢だった。8月の王座統一戦で敗れ、去就を迷った。リングから遠ざかって「引退したつもりで過ごしてた」。春から通う愛知・菊華高で、15歳も年の離れた同級生と触れあった。トルネードポテトを売った9月末の文化祭では「次も頑張ってくださいね」と声を掛けられた。心に火がついた。「引退は、まだ早い。やられたらやり返す」。入場曲は映画ロッキーから選んだ。4回まではジャッジ3人とも大平優位の展開だったが、強い思いのこもった拳で打開した。

 3度目の世界王座返り咲きも日本初。今後の夢も、3団体統一や2階級制覇へ広がる。小さな高山の体には、底知れぬパワーが詰まっている。【木村有三】

 ◆高山勝成(たかやま・かつなり)1983年(昭58)5月12日、大阪市生まれ。中2でボクシングを始める。01年ライトフライ級で全日本新人王獲得。05年WBC世界ミニマム級王座、06年11月WBA同級暫定王座、13年IBF同級王座獲得。158センチの右ボクサーファイター。<高山記録アラカルト>

 ◆4団体制覇

 日本人は高山が初。海外ではバーナード・ホプキンス(米国)が09年9月にミドル級で4団体統一。元世界5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)は、11年2月にアジア勢初の4団体制覇を達成。元世界6階級制覇王者のオスカー・デラホーヤ(米国)も4団体を制している。

 ◆ミニマム級の4団体制覇

 世界でも例はなく高山が初。WBCでV22のリカルド・ロペス(メキシコ)はWBA、WBOを制覇も同級では3団体止まりで、その後階級を上げライトフライ級でIBF王座を獲得。

 ◆4本目ベルト

 高山が日本初。3本獲得者は柴田国明(WBCフェザー、同スーパーフェザー、WBAスーパーフェザー)、亀田興毅(WBAライトフライ、同バンタム、WBCフライ)、井岡一翔(WBA&WBCミニマム、WBAライトフライ)の3人。

 ◆3度目の世界王座返り咲き

 日本では高山が初。過去に2度返り咲いているのは柴田国明、輪島功一、辰吉丈一郎、亀田興毅の4人(王座返上後の獲得も含む)。