日本柔道界を引っ張ってきた斉藤仁(さいとう・ひとし)氏が20日午前2時56分、大阪府東大阪市の病院で死去した。54歳だった。

 北京五輪100キロ超級金メダリストで格闘家の石井慧(28)は、恩師の死を滞在中のオランダで聞いた。「去年の暮れから体調が悪いと聞いていたので心配していた。非常に残念です。今は言葉にならない」と沈痛な声で話した。08年8月、北京五輪の優勝インタビューで「オリンピックのプレッシャーなんて、斉藤先生のプレッシャーに比べたら、屁の突っ張りにもなりません」と答えた。全日本の合宿で指導を受け「朝から晩まで休憩なしで練習した。道着を握りすぎて、小指の爪がなかった」と当時を振り返った。猛練習のおかげでつかんだ五輪金メダル。「柔道で自信が持てた」と格闘技界で戦い続ける心のよりどころになっている。