<プロボクシング:ノンタイトル10回戦>◇6日◇東京・後楽園ホール

 マナー良し、反則なしの「ニュー大毅」がKOデビューした。昨年10月の世界戦での反則騒動で1年間のライセンス停止処分を受けた亀田大毅(19=亀田)はアンヘル・レサゴ(23=メキシコ)と392日ぶりの再起戦で、5回1分47秒KO勝利した。決意の短髪で登場すると、ガードを上げて猛進する従来のスタイルだけでなく、足を使ったボクシングも披露。最後は左フック4連発で豪快にKOした。試合後は四方に頭を下げ、相手とも握手。反則騒動の反省と1年間の成長をリングで見せた。

 雄たけびもガッツポーズもない。再起のリングでKO勝ちした大毅は、まず四方の観衆に頭を下げた。その後はKOしたレサゴを気遣うように握手した。

 反則騒動から1年。一部の観客からは「投げろ、大毅」とヤジが飛ぶなど、決して風化していない。そんな中の快勝にも「1年前、申し訳ないことをした。また試合を見に来てください」と、喜びより、謝罪の言葉を優先した。

 前日までの長髪アフロから一転、短髪で登場した。初回からガードを下げて足を使う。1年前の内藤戦はガードを高く上げて猛進するスタイルに終始。単調な攻撃でKOを焦り、反則行為を犯した。この日はブランク期間に積んだ練習の成果を見せながら、ボディー連打でペースを握った。5回には左フック4連発で仕留めた。

 昨年10月の反則騒動で、1年間のライセンス停止処分を受けた。その後も毛皮での謝罪会見、自動車事故などゴタゴタが続いた。自分がまいた種とはいえ、目の前の目標も消え、一時は自暴自棄に陥った。

 転機はメキシコだった。協栄ジム離脱後の5月、兄興毅とともにメキシコ修行に出掛けた。ボクシングの盛んな現地は強豪選手がそろう。貧富の差の大きさから、精神的にタフな選手も多い。そんな環境で、弟和毅(ともき)がアマ選手として活動していることも刺激になった。

 「人生修業」も再出発への糧にした。雑誌の企画で生け花、書道、スイーツ作りなど、その道のプロのもとで修業を積んだ。視野を広げ、自発的に敬語も使い始めるなど人間的にも成長した。

 12月8日には栃木・小山市で再起2戦目を行う。この日は格下の相手だったが今後は日本人選手を含め、実力上位者との対戦が求められる。地道にステップを踏んで、頂点を目指していく。大毅の「第2のボクシング人生」が始まった。【田口潤】