ボクシング亀田兄弟の長男で、WBA世界フライ級2位の興毅(22=亀田)が、メキシコの高地から2階級制覇を狙う。興毅は11日、メキシコなどでの合宿を終えて帰国。3月4日の今年初戦(さいたまスーパーアリーナ、相手未定)後、再びメキシコ入りし、1カ月間の高地合宿を張ると明かした。今回、再び世界を狙うための「新拠点」を見つけてきたという。

 関係者の話を総合すると、その場所は首都メキシコシティーから西に約85キロの街テモアヤ。標高3800メートルで富士山よりも高い。商店もテレビもないが、ジムには寝泊まりできる施設が整う。前WBA世界スーパーフライ級暫定王者アルセ(メキシコ)も合宿した実績もある。「そこで合宿しようと思っている。ボクシングに集中できる。ええ感じや」。最適の環境に、一目ぼれした。

 高地練習は、持久力強化に劇的な効果がある。一方で練習量が少なくて済むため、筋力維持には向かないともされる。メキシコ人はともかく日本人ボクサーでは、WBA世界スーパーフライ級名城信男が06年に長野・菅平(標高約1500メートル)で試みたくらい。だが、興毅に抵抗はない。弟和毅が、同国の高地で心肺機能を高めているのも目の当たりにしている。

 すべては、3月の試合後に挑戦を希望するWBA王者デンカオセーン(タイ)戦のためだ。「次はデンカオセーン戦、行きますよ」と、交渉の順調さをうかがわせた。前哨戦は相手も決まっていないが、視線はその先に向いている。【森本隆】