世界再挑戦に失敗した亀田大毅(20)が所属する亀田ジムの五十嵐紀之会長(35)が7日、大阪市内で会見し、WBAに年内即時再戦を要求した。前日6日にWBA世界フライ級王者デンカオセーン・カオウィチット(33=タイ)に0-2の判定負けを喫したが、この結果を不服として、今週中にも試合VTRと意見書をWBAのアピール委員会に提出する。試合後に潔く敗北を受け入れた亀田大は会見に出席しなかった。

 大毅の世界再挑戦失敗からわずか10時間後、亀田ジムが早くも「3度目の挑戦」へ行動を起こした。会見に臨んだ五十嵐会長は「絶対に負けていない。3ポイントぐらいリードしていたと思う。納得していません」と判定への不満を表明した上で、「WBAに再戦の申し出をしたい。ダイレクトリマッチ(直接再戦)です。間があくと状況が変わってくると思うのですぐにやりたい」と、年内の再挑戦を訴えていくことを明かした。

 すでに五十嵐会長は試合後に、WBAの立会人を務めたアラン・キム氏(69)に意向を伝え、同氏を通じてWBA本部に報告したという。この日の会見に同席したキム氏は「ビデオを出してクレームをする権利はある。個人的な意見として、いい試合だったので、WBAにできるだけ早くリマッチをするよう勧めたい」と話し、試合のビデオと意見書をWBAのアピール委員会に早急に提出するよう求めた。

 試合の判定が覆ることはまずない。世界戦での防衛戦を挟まない直接再戦も、基本的に認められていない。日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内事務局長も「提訴をするのは認められている当然の権利です。ただ直接再戦は忌避される場合が多くレアケースです」と話す。王者デンカオセーン陣営も防衛成功後に「次は坂田(健史)か久高(寛之)」と話しており、年内の大毅の3度目の挑戦は簡単ではない。

 試合後に敗北を潔く受け入れていた大毅は、会見に姿を見せずに帰京した。五十嵐会長は「特別コメントしていませんが、納得いかなかったって気持ちはあると思います」と代弁した。今年もあと3カ月。11月16日からはコロンビアでWBAの総会が開催される。キム氏は「総会までに決まることを願っています」と早期決着の考えを示した。【浜本卓也】