<プロボクシング:WBA世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇7日◇神戸ワールド記念ホール
興毅も泣いた。夢の「兄弟世界王者」に兄のWBC世界フライ級王者・亀田興毅(23)が、歓喜の涙を流した。大毅の今回の世界戦にかける思いを間近に見てきただけに「今回はめっちゃ追い込んで、熱が出ても休まず練習した。ほんまによう頑張った」とたたえた。父史郎氏(44)も感涙。三男和毅(18)を含めた3兄弟世界王者の“野望”へ前進した。
「新チャンピオン!」のコールが響くと、興毅はすぐに弟を抱きしめた。「ようやった、ようやった…」とささやき、顔をくしゃくしゃにして泣いた。ボクシングを始めたときからの夢、兄弟で世界王者のベルトを巻くことが現実になった。実感を聞かれた興毅は「ボーッとして、何か分からへん」と控室に戻るといすにへたり込んだ。
今までとは違う「大毅」を見てきた。「練習から頑張ってたしな。気持ちが全然違うよ」。3兄弟の中で練習に対しては、最もふまじめだった。朝、走るのをサボり、父史郎氏にどつき回されるのは決まって大毅。さらに「大毅はアホやねん。ごっつい自信持つからな」と興毅は言う。問題になった07年の内藤戦前も「お兄ちゃん、大丈夫、大丈夫。すぐ終わるから」と言い、練習も軽かった。
それが今回は目の色が変わった。「おれの前回世界戦(昨年11月の内藤戦)より3倍のメニューやからな。それを1カ月、休まずにやり切った」。上半身の力に頼ってしまうため、バランスをよくするために下半身を徹底的に鍛えた。「大毅はしんどなったら熱出るんよ。今回も38度ぐらい出たときあったけど、歯食いしばってやってた」。自分への甘えを捨てた。そんな必死の姿を見てきたからこそ、興毅は泣いた。
興毅はかねて「大毅はホンマ、気持ちだけやねん。ボクシングの力はもともと、持ってるからな」と口にしていた。ようやく本気になってベルトを手にした弟へ言った。「まだまだ。おれが次、きっちり防衛してまた突き放すからな」。3月末に予定される暫定王者ポンサクレック(タイ)との統一戦へ気合を入れた。【実藤健一】

