プロボクシングの亀田3兄弟が、それぞれ別々のジムで再スタートすることが14日、分かった。無期限活動停止処分を受けた亀田ジムから、興毅(23)大毅(21)和毅(18)の3兄弟を預かった東日本ボクシング協会の大橋秀行会長(45)が明かした。事実上の追放処分を受けた父史郎氏を中心とした家族からの自立を促すのと、受け入れるジム側への配慮が理由。同協会はすでに加盟ジムに声を掛け始めた。4月中旬にも決定する方針で、早ければ19日から、3兄弟は別々のジムで練習を再開する。

 亀田3兄弟が人生で初めて、それぞれ別々のジムで練習をすることになりそうだ。父史郎氏の「どう喝問題」で、12日に亀田ジムの五十嵐会長が無期限活動停止を申し出て、3兄弟は協会預かり選手になったため、亀田ジムで練習ができなくなった。3人の練習先について大橋会長は「プロボクサーにとって練習は一番大事。場所を確保できるように、声を掛けているところです」と、すでに数ジムに依頼していることを明かした。その上で「3人ばらばらに練習するようにしようと思っています。今週中に決定して、週明けにも練習ができるようにしたい」と語った。

 3兄弟の「独り立ち」が狙いだ。自宅を兼ねた亀田ジムには、3兄弟以外の所属選手はいなかった。三男和毅はメキシコを拠点にしているが、興毅と大毅は海外合宿以外、常に一緒に練習してきた。ただ自分たちのペースで練習できる反面、他人と接する機会はほとんどなかった。大橋会長は3兄弟の成長ぶりを認めつつも「1対1で対話するのも大事。自立性をもっと高めてほしい」と、家族以外の人と接する機会を増やすことで、技術的にも人間的にもさらにレベルアップしてほしいと期待した。

 また3人を1つのジムで練習させると、報道陣やファンなどが殺到する可能性が高く、他のジム生の練習にも影響が出てしまう。ジム側も受け入れ先として手をあげにくい。「受け入れ側も3人だと大変になるので」と大橋会長。早期解決のために、ジム側に配慮する狙いもあった。

 アマチュア時代から3兄弟は自宅で史郎氏が投げるピンポン球をよけて防御力を磨くなど、独自メニューを3人でこなしてきた。05年に協栄ジムに移籍した際も、08年の亀田ジム設立の際も、家族は一緒に動いた。だが、史郎氏が「どう喝問題」によって、13日にJBCからセコンドライセンス取り消し処分を受け、日本ボクシング界から事実上永久追放された。会場への立ち入りも一部制限される。3兄弟が新たなボクシング人生をスタートさせるためには、父からの自立が最大のテーマでもあった。

 長男興毅は14日、自身のブログで「やるべきこと」と題した文章を掲載し「おれは三兄弟の長男として、大毅、和毅を引っ張っていき、3兄弟で力を合わせて頑張っていく」とつづっていた。興毅は再起へ向け、WBA世界フライ級王者の大毅は初防衛戦に向け、和毅は世界王者へ向け、これからはそれぞれが別の場所で己を磨いていくことになる。亀田3兄弟にとっては、未知なる試練となりそうだ。