総合格闘家・石井慧(23=アイダッシュ)が、本家お墨付きの「亀パンチ」でKO勝利を狙う。25日のDREAM16(愛知・日本ガイシホール)でのミノワマン(34=フリー)戦を控えた23日、都内ジムで親交のある元ボクシング2階級制覇王者の亀田興毅(23=亀田)に打撃のチェックを受けた。4月からひそかに練習を重ねてきた亀田直伝のノーモーションパンチに太鼓判を押され、ミノワマン撃破の必殺技にすることを宣言した。

 石井の鋭角的なパンチがミットを豪快に響かせた。興毅が見守る中、パンチ連打でリズムと感触をつかむと次の瞬間、脇を締めて肩の力を抜いた状態から瞬時に左ストレートを繰り出した。ボクシングで2階級制覇を達成している興毅が思わず「うまなったなあ、だいぶ」と驚く上達ぶり。石井は「練習してきたかいがありましたね」と言い、不敵な笑顔をみせた。

 今年4月、課題の打撃を強化するため、亀田ジムの門をたたいた。興毅、大毅が世界を制したノーモーションパンチを、2人の父史郎氏から伝授された。相手に予測されず、防御のスキを突いて顔面にヒットさせる必殺パンチだが、両拳が大振りになりがちなヘビー級には簡単に習得できるものではない。石井がハワイやロサンゼルスで練習を積み重ねてきた成果を、興毅も高く評価した。

 興毅

 昨年末や4月に比べたらフォームが良くなった。スムーズに流れるようにパンチも出てるし、やばいパンチを持っている。どない強いヤツでも失神するよ。オレがもらったら泡を吹くな。死んでまうよ。

 石井が参戦するDREAM16は、興毅の弟でWBA世界フライ級王者大毅の初防衛戦とセットで、ゴールデンタイムに2元中継される。興毅には「(石井の)試合は大毅の励みにもなる。お互い良い試合をやってほしい。大毅と2人で勝ってもらいたい」とエールを送られた。

 同年齢の元2階級制覇王者の言葉を受け、石井は「技術とかすべての面で刺激を受けている。同じサウスポーになって、パンチが伸びるようになっている。これを試合で出して勝ちたい」と宣言。年末に2元中継で一緒に試合する約束まで交わした。興毅から認められた必殺の「亀パンチ」で、国内プロ初勝利をもぎとる覚悟だ。【藤中栄二】