<プロボクシング:WBA世界バンタム級王座決定戦>◇26日◇埼玉・さいたまスーパーアリーナ

 夢が、かなった。ほんま、言葉ないな。3階級制覇できて素直にうれしい。

 今までもいろいろあったけど、今年は過去最強やった。3月は分岐点になったな。初黒星して、ジムがなくなるかもってなって、ジムで練習もできへんようになった。

 周りの目も変わった。つらかった。特に満足に練習できへんかったのが一番つらかった。いつも荒川沿いを走ってた。夕方、人の少ないとこに行ってな。先が何も決まらん状況やったけどボクシング人生は長いし、体だけは絶対に休めたらあかんから、常に動かしておこうと思っていた。3階級制覇の夢があったから。

 ジム再開はほんまにうれしかったし、試合が決まってようやくホッとした。完全なベストじゃなかったんよ、(7月の)大阪の試合は。でも勝たなあかん。負けたら何言われるか分からんから。スーパーフライに上げて、相手は(計量で)体重オーバーまでしてきたから、パンチがあった。「パンチ重いな」って思ったもん。必死やった。

 そんな年に、24歳になった。亀田プロモーションの社長にも、これから先々を考えて就任した。これまでは、ずっとおやじとか周りの言うこと聞いてやってきたけど、例えば引退したあと何するねんってこととか、自分で考えるようにならなあかんなって思った。

 おやじが表に出られへんようになって、下2人がおるから「おれが」って気持ちはあるよ。例えば、まだ先の話やけど、これから先、おれが逆におやじの面倒を見なあかん立場になってくる。どっちが先、年を取るん?

 おれがしっかりして先頭でやっていってこそ、ほんまの親孝行になるんやと今は思ってる。

 もちろんおやじのことは大好きやし、ずっと感謝もしてる。でもおれにはおれの考えもある。ムニョス戦もおやじは「バンタムはやめとけ、勝たれへん」って言ってたな。今までやったら「分かった」って言ってたかもしらんけど、後悔したくなかったから「やる」って言った。「勝たれへんのやったら勝ったらすごいやん。それやったらやったるわ」みたいな話やんか。おれが戦うねんから、できるかどうかはおれが一番分かってる。それで無理やったら仕方ない。勝負は勝ち負けがある。負けたら負けたときで、相手が強かったんやということ。また次、もう1回頑張ればいい。それだけやろ?

 

 3階級制覇したら結婚って言ってたな。プロポーズ?

 せえへんよ。やっぱり結婚はまだや。照れくさいけど(中学の同級生でもある交際中の彼女とは)ずっと一緒におるし。でも、いつもよくやってくれるから、感謝の気持ちを込めて、このベルトを形として恩返しになればと思ってる。

 人生、ここからがホンマの勝負やと思ってる。人生はいろいろあるし、逃げたいときもある。いろいろ言われたりする。でも、おれは1戦1戦結果を残していって、ちょっとずつ分かっていってもらうしかないって思ってるから。

 これからが、始まりや。