<プロボクシング:WBA世界フライ級王座戦>◇26日◇埼玉・さいたまスーパーアリーナ

 WBA世界フライ級王者亀田大毅(21=亀田)は、同級14位シルビオ・オルティアーヌ(32=ルーマニア)に判定勝ちしてV2を達成した。戦績は19勝(11KO)2敗。

 執念でリングに立った。8回以降、完全に両足がつった大毅は足を止め、ガードを下げた。弁慶の仁王立ちのように止まって笑みをみせ、左フック、左ボディーを軸に打ち合った。大毅の有効打、手数のオルティアーヌの展開。ジャッジ3人の支持も割れたが、2-1の判定勝利。兄興毅がセコンドにいない初の世界戦で白星を挙げると「足をつったのも初めてや。こんな状態でよくベルト持って1年間、勝てて良かった」と自然と笑みをこぼした。

 試合まで残り1週間で6キロの減量を強いられた。汗の出にくい冬の減量は初防衛戦となった9月の坂田健史戦以上に苦しめられた。絶食状態で、貧血の症状を起こした。「減量ありきの練習になった。言い訳ですけど足が動かなかったのは減量の影響もある。内容は…おやじ、兄ちゃんも口をきいてくれへんかもしれないけど」と苦笑した。

 先月15日の亀田祭り発表会見後、自分のボクシングに対し「亀田と判定はセット」と辛口に評した。今年はKOがないというジレンマに悩んだ。ここ数試合は試合ビデオも見ていなかった。「何で見ないかって、面白くない。オレじゃないやんけ、これって。むかついて」。この日も判定勝利に納得できるはずもなく「ふがいない試合をした」と自らを責めた。

 これでフライ級卒業が濃厚。「ベルトは返上したい。(一家で)話し合いたい。2つぐらい階級を上げたい」。スーパーフライ級、あるいはバンタム級に上げ、2階級制覇を狙う選択肢を思い描いた。【藤中栄二】