小橋の主治医「力もらった」/ノア<ノア:東京大会>◇2日◇日本武道館◇1万7000人

 腎臓がんを克服したノアの小橋建太(40)が2日、546日ぶりにリングに上がった。高山善広と組んで臨んだ三沢光晴、秋山準組戦に、大病を患ったとは思えない鍛え上げられた体で登場した。

 小橋の主治医・横浜市立大学大学院医学研究科の中井川昇准教授(43)はリングサイドで感激していた。「試合以上の練習をしたと言っていたが、それを証明してくれた。今日は私が、明日から頑張れる力をもらいました」。5時間半にわたる大手術を担当し、現在も体調管理のアドバイスを送る。本来は個人情報保護のため禁止の報道取材も、小橋の「ファンに説明したい」という考えに沿って受けている。

 初対面では対立した。がんの疑いがあるのに「どうすれば復帰できますか」と言う小橋に面食らった。「まず生きましょう」と答えた。復帰後を考えて腎臓の部分切除を望んだ小橋に対し、再発の危険性を抑える全摘出を主張。「違う病院に行くだろうと思った」と振り返るが、小橋の気持ちは固まっていた。「がんでも、ちゃんと治せば生きられるという希望をもらった」と感謝された。

 今もリング復帰許可を出していない。腎臓は2つのうち1つあれば、日常生活に支障はない。命の危険を冒した挑戦は、医師として勧めることはできない。それでも「長生きするだけでなく、人生で何を一番の目的にするかは大切なこと。小橋さんが自分の責任でプロレスをするというなら、止められない」という。

 「だから最大限のサポートをするんです」。高タンパクの食事と脱水症状は禁物と指導し、食事だけでなく、飲み物も厳選して取らせている。本来3~4カ月に1度の定期検診を、経過をつぶさに見たいという小橋の要求で毎月実施。それでもやはり、心配は尽きない。「もし(今後の)検査の結果が悪ければ、ファンの非難を受けてでも止めます」。戦い続ける小橋を最後まで援護していく。[2007年12月3日8時16分

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