横綱の物言いに、本人も師匠も困惑の色を隠せなかった。西前頭12枚目の琴勇輝(23)が25日、大阪・松原市内の佐渡ケ嶽部屋で、前日の力士会で横綱白鵬(29=宮城野)から禁止令を出された、最後の仕切り前で出す気合入れの「ホゥッ」の発声について迷える胸中を明かした。

 力士会では、やはり「ホッ」というせき払いで気合を入れる千代鳳とともに名指しされ「犬じゃないんだからほえるな! やめろよ! いいな」などと厳命された。琴勇輝は「今は何とも言えない。自分が何か言うと角が立つから」と言葉を抑えた。ただ、受け狙いのパフォーマンスではないという信念だけは、せめてもの意地で口にした。「自分の中の1つのルーティンで受け狙いが目的ではありません」。その上で続行の可否についても「続けたい気持ちはある」と話した。

 この日朝、報道で知った師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「新聞見たよと言ったら『そうなんですよ』と落ち込んでました」と弟子の胸中を察した。白鵬の発言には「だったら、みんなが直せばいい」とし「あまりにも見苦しいなら仕方ないし審判部に言われるなら『分かりました』となるけど、自分の気持ちを上げるものでパフォーマンスでも何でもない」と弟子への信頼感を口にした。8日の春場所初日までに話し合い「強行突破」か否かの結論を出す。