大相撲の東幕下37枚目の栃乃里(25=春日野、本名・矢鋪光太郎、石川県野々市市出身)の断髪式が6日、東京・両国の春日野部屋で行われた。

 金沢学院東高時代は、幕内遠藤(24=追手風)の1年先輩として活躍。同高卒業後の08年春場所で初土俵を踏んだ。初めて番付にしこ名が載った、翌夏場所で序ノ口全勝優勝。丸1年で幕下まで順調に駆け上り、12年秋場所では最高位の東幕下4枚目まで番付を上げた。念願の関取は目前だったが、その場所の7番相撲で足を負傷。また、首のヘルニアを患い、以後は幕下を維持するので精いっぱいだった。

 昨年1月に医師から、相撲は取れないことを宣告されたが「踏ん切りがつかなくて1年は治療して答えを出そうと思った」。昨秋に「幕下を維持するのは簡単だけど、上を目指して入門した。ただ(幕下に)いるだけでは意味がない」と引退を決断。今年初場所の7番相撲で「これで体が壊れてもいい、と思った最後に押し相撲を取り切れた。つらいことも忘れた」と区切りを付けた。

 今後は埼玉県内の企業で働きながら「部屋とは縁を切りません」と後輩の指導にも尽力する。後輩にあたる遠藤には「むちゃしてケガせず頑張ってほしい」とエールを送った。