左肩の腱板(けんばん)損傷などで大相撲春場所を休場した横綱鶴竜(29=井筒)が、夏場所(10日初日、東京・両国国技館)も全休することが7日、決まった。東京・墨田区の井筒部屋で明らかにした。肩のけがが完治しなかった。横綱の2場所連続全休は、サッカー騒動で07年秋、九州に出場停止処分を受けた朝青龍を除けば、03年初場所から3場所連続で休んだ武蔵丸以来、12年ぶりとなる。

 出場はしたい。だが、横綱である以上、求められる結果がある。悩んだ末に鶴竜は、苦渋の決断を下した。「腱板は良くなっているが、肩の内側の傷が治っていない。(完治まで)さらに1カ月かかると言われました。出たい気持ちでずっとやってきたが、出るだけじゃダメ。出るからには結果を残さないといけない地位。出る以上は言い訳できない。中途半端はいけないという気持ちで、休場を決めました」と明かした。

 春場所前のMRI(磁気共鳴画像装置)検査で、左肩は2カ所、損傷していた。そのうちの1つ、腱板は治ってきた。だが「腱板とつながっているスラップ損傷(上方関節唇損傷)がまだ…。そこから腱板に痛みが走る。どこかでかばいながら相撲を取っている」。4月30日から4日間、相撲を取った。だが、3日を最後に土俵に入れなかった。師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)は「2場所も休んで申し訳ない」と頭を下げた。

 自身初の2場所連続全休。けがによる横綱の連続全休は、03年の武蔵丸以来12年ぶりだ。「完全に治ると思う」と復帰を目指す名古屋場所(7月12日初日、愛知県体育館)では、重圧は相当なものになる。北の湖理事長(元横綱)は「精神的に厳しくなる。前半戦にものすごく神経を使う。結果を出せないと、また追い込まれる。気持ちで乗り越えるしかない」と話した。

 まだ横綱として優勝経験がない鶴竜も、承知の上。「1つの試練、壁と思い、前向きに考えたい。自分を信じて準備していきたい」。自らに言い聞かせた。【今村健人】