大関豪栄道(29=境川)が、横綱白鵬(30=宮城野)を土壇場の逆転劇で破った。土俵際まで攻め込まれたが、かいなを返された右腕を相手の首に巻き付け、体を預けるようにして投げた。先に手をつかない執念を見せた甲斐もあって、わずかに白鵬の右肘が先に落ち、軍配は豪栄道に。結び前の一番でも、館内には座布団が舞った。

 昨年秋場所の大関昇進後はふがいない成績が続いただけに、報道陣から意地かと問われると「そうですね。優勝争いとか、何も絡めてないので」と息をついた。

 捨て身の首投げは“豪栄道スペシャル”とも言われるが「悪い癖ですね。自分では直したいと思ってるんですけど」という。「やっぱり寄り切りとか、前に出て勝つのが一番」と言いつつ「勝ったことは素直にうれしい」と、最強横綱を撃破した喜びをかみしめた。

 魁聖が敗れ、取組前時点では唯一の1敗だった白鵬に土をつけ、優勝争いを大混戦へと導いた。だが、自身は既に5敗して、まだ勝ち越してもないだけに「まだ残り3日あるので」と気を引き締めた。