大相撲夏場所で初優勝を果たし、一気に大関昇進も決めた照ノ富士(23=伊勢ケ浜)が25日、東京・江東区内の部屋で一夜明け会見を行った。劇的なシナリオを駆け抜け「信じられない」と、夢心地はまだ続いている。

 会見場にはテレビカメラ7台、約80人の報道陣が詰め掛けた。それでも照ノ富士は「全然信じられないっす」と言った。前日は大逆転の初優勝で、1度は消えた平成生まれ初の大関の座も射止めた。フラッシュを浴びると「まぶしいっす」と、やっといつもの無邪気な笑顔で答える。目標だった「年内に大関昇進」。その先まで達成した。夢心地で、心は宙に浮いたままだった。

 だが周囲は慌ただしくなってきた。第2の故郷で「とっとりふるさと大使」も務める県からは、お祝いに地元の日本酒5本、ワイン6本が贈られた。県庁舎と母校の鳥取城北高では懸垂幕や横断幕が設置された。さらに大関以上の力士のしこ名入り弁当を作る国技館サービスでも「照ノ富士弁当」の製作準備に入った。

 今後の目標を聞かれ、「いま考えてます」と答えた。だが残りは横綱しかない。名古屋場所で綱とりとはいかないが、大関で2場所連続優勝すれば年内の昇進も可能。秋場所後の昇進なら、昭和以降で双葉山、照国と並ぶ2場所通過の最速記録になる。64年ぶりに三役2場所通過などスピード昇進してきた男に、周囲の期待は膨らむばかりだ。【桑原亮】