大相撲の二所ノ関一門の連合稽古が7日、東京・江東区の高田川部屋で行われ、大関稀勢の里(29=田子ノ浦)が十両天風(24=尾車)に稽古をつけた。

 腰痛もあって稽古量が少ない天風には、一門の親方衆からも厳しい叱咤(しった)が飛んでいた。この日は大関琴奨菊(31=佐渡ケ嶽)や平幕嘉風(33=尾車)が不在。そこで、もともと軽めの調整と考えていた大関は「筋肉もいいものがあるのに、もったいない。目覚めてくれれば」と期待を込めて、205キロの巨漢力士を土俵に引っ張り込んだ。

 最初は12番、相撲を取り、その後は土俵中央から天風にぶつからせた稀勢の里。そして最後にぶつかり稽古を、連続して行った。途中から息切れし、なかなか立てない天風にはほかの関取衆からも叱咤の声が飛び、瞬く間に砂まみれ。汗と混ざって泥に変わったそれが、稀勢の里の全身にもついたが、ぬぐうことなく稽古を続けた。

 2人は約40分間、土俵を占領。稀勢の里は「つい気合が入っちゃった」と笑い、見守った天風の師匠の尾車親方(元大関琴風)は「腰が痛いと、稽古前から負けてんだよ。やられてよかった。もっとやらなきゃ。まだ目覚めていない」と手厳しかった。兄弟子の豪風(36=尾車)に「気持ちが鍛えられたんじゃないか」と言われた天風は「まさか大関に胸を出してもらえるとは思っていなかった。泥と汗と涙が混ざりました。しんどかったけど、本当に感謝しています」と泥まみれのまま、部屋を後にした。